アメリカ南部で田舎暮らし

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【洋書読書③】『The Serpent and the Wings of Night』(Crowns of Nyaxia シリーズ)

こんにちは!

 

前回の【洋書読書②】に引き続きカリッサ・ブロードベントの作品から、2022年8月に出版された Crowns of Nyaxia シリーズの第一作、『The Serpent and the Wings of Night』が大変良かったのでご紹介します。今年に入って読んだ作品の中で今のところ一番良かったです!続編は2023年4月14日発売ですよ~!

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°˖✧目次✧˖°

 

 

あらすじ

人間のオレアは幼い頃に反乱によって壊された街の残骸から、吸血鬼であり夜の一族ハイアジの王 ヴィンセントに救われて以来、ヴィンセントの“人間の娘”として生きてきた。吸血鬼の世界で生きる彼女は吸血鬼の心を持つ人間。危険なこの世界で生き抜くため、そして生みの家族を探すため、彼女はヴィンセントのように強くなる必要があった。

特別な魔法によってヴィンセントと”コリアティスの絆”を結び、彼のコリアティーになることができれば、ヴィンセントとオレアは相互にお互いのパワーを使えるようになる。半分以上の確率で死ぬ転生のリスクを避け、育ての親であるヴィンセントの本当の娘となることができるのだ。

そのため、オレアは死の女神:ニアクシャによって100年に一度開かれるトーナメント“ケジャリに参加するのだった。このトーナメントに勝ち残った者にはニアクシャ直々に褒美が与えられ、なんでも願いをかなえることができるという。

しかしこのトーナメント、参加者はオレア以外は全員吸血鬼。夜の一族、血の一族、影の一族…三つの吸血一族それぞれから集まった吸血鬼たち。人間のオレアはトーナメントを勝ち抜くため、夜の一族の王位をめぐって父と敵対するレイジャン一門のレインと同盟を組むことに。

果たしてオレアは危険なトーナメントを勝ち残り、願いを叶えることができるのか?

 

私の感想

星五つですね。マジで超おもしろかったです。

まだシリーズ一作目なのに!

最初あらすじ読んだとき、吸血鬼のトーナメント?はて?って感じだったのですが、気持ちのいいアクション描写と心情の機微がうまく書けていて全く飽きませんでした。

作中では吸血鬼間の政治的争いにも触れていて、トーナメントはあくまでもシリーズ最初のイベント。今後はこの争いがどんどん大きくなって主人公たちがどう巻き込まれ、どう立ち回るのかとても楽しみです。

 

人間でありながら吸血鬼の世界で生きてきたオレア。捕食者である吸血鬼と被食者である人間という狭間に生きる彼女の葛藤と、父であり王でもあるヴィンセントとの関係性はちょっぴり切ない。言葉には表さないけれど、オレアに厳しい世界で生き抜くためのすべを教えてきたヴィンセントの愛…王座のため自らの血族をも殺めた冷酷なヴィンセントはどうして人間のオレアを救って自分の娘として育てたのか?はかない人間でしかないオレアにコリアティスの絆を提案する意図とは何なのか?スタートから疑問は尽きないのですが、深く考えさせずに読ませられ、最後に衝撃の事実が発覚します。

But one had to learn how to hear what lingered in between the words. Just like he never told me he loved me, but I heard it in every stern instruction.

ーThe Serpent and the Wings of Night (Crowns of Nyaxia Book 1) より

 

一方、父と対立する一門の吸血鬼でありトーナメントの強力なライバルでもあるレイン。吸血鬼でありながらオレアがこれまでに出会った吸血鬼とは違う彼とトーナメントを勝ち抜くため協力関係を結びます。吸血鬼の心を持つ人間であるオレアに対し、レインは人間性を持った吸血鬼。そんな二人は徐々に惹かれていきます。しかし、トーナメントを勝ち抜くのは一人…。トーナメントに参加したレインの目的とは?二人の結末は?気になって読む手が止まりませんでした!

I had human blood and a vampire heart. He’d had a human heart and vampire blood. The world left no room for either.

ーThe Serpent and the Wings of Night (Crowns of Nyaxia Book 1) より

 

名前ムズカシイヨ…

洋書の登場人物の名前って頭にしみこむまで時間がかかることがあるのですが、カリッサ・ブロードベントの作品は特に名詞・登場人物の名前が難しい…!前作もファンタジーらしい名前がたくさんでてきたのですが、今作からは長編シリーズになるためか最後に用語解説が載っているので大変ありがたかったです。

 

見どころ

読むアクション

オレアの葛藤と政治争いのほかに、この本のもう一つの見どころはなんといってもアクションです。5つの試練からなるトーナメントはいつもハラハラ。吸血鬼よりはるかに繊細な人間であるオレアがどのように生き残っていくのか、本を読んでいるというよりも映画を見ているような気にさせるアクションは必見です!

 

孤独なオレアが見つけた友情…そして?

チームで戦わなくてはならないトーナメント戦のため、「後で殺すのが簡単だから」と言いつつオレアに近づいてきたレイン。吸血鬼に対しては父ヴィンセント以外に気を全く許さないオレアでしたが訓練や戦いを通じて2人の距離は近づきます。

吸血鬼の世界で生きてきて、信じられるのはヴィンセントしかいなかったオレア。レイン、そしてレインの友達のミシャの吸血鬼らしくない様子に戸惑いながらも友情が芽生えていきます。

そんな感情を表に出さないオレアと人間味豊かなレインのやり取りはコミカルで面白い!

His eyes sparkled with amusement. “You’re grinning like a little child.” I scowled, and he chuckled. “Oh, never mind. There she is.” I rolled my eyes and looked back to the landscape below.

ーThe Serpent and the Wings of Night (Crowns of Nyaxia Book 1) より

(レインは作中で”There she is.”を何回も言ってます笑)

 

そして要所要所に出てくるオレアに対するレインの想いがのったセリフにキュンキュンしてしまいます…。

“You are the most stunning thing I’ve ever seen, Oraya.”

ーThe Serpent and the Wings of Night (Crowns of Nyaxia Book 1) より

 

終盤の畳みかける予想外の展開

私は予想がつかない、いい意味で裏切られる展開が大好きなのですが、この作品はその裏切りがいくつもあって終盤にこれでもか!と畳みかけてきます。読みながら「え、ちょっと待って!」と思わず声に出てしまいました。

冒頭でさりげなく読んだ文章が、読み返すと「そういうことだったのね!」とあとで閃きに変わります。

Hundreds of years later, historians and scholars would look back upon this moment. This decision that, one day, would topple an empire. What a strange choice, they would whisper. Why would he do this? Why, indeed. After all, vampires know better than anyone how important it is to protect their hearts. And love, understand, is sharper than any stake.

ーThe Serpent and the Wings of Night (Crowns of Nyaxia Book 1) より

読み終わった今改めて読み返すととても意味深な文章ですね。

 

また、ヴィンセントだけでなくレインにも大きな秘密が!読んでからのお楽しみです。

 

同じ世界の中編小説:『Six Scorched Roses』

第二作の出版が間近に迫るCrowns of Nyaxia シリーズですが、実は1.5作として中編小説も出ています。

こちらも第一作に劣らず高レビューのため、次作を待っている間に読んでみようと思います!本編とどのようにかかわりが出てくるのか楽しみです。

 

カリッサ・ブロードベント、どの作品も私の好みにハマっているので他作品も読むのが楽しみです!

 

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